持続可能な世界の実現に向けて様々な考え方や取り組みが広がっています。その一つがESGであり、物流業界としての取り組みがESG物流です。
今回は、今注目されているESG物流についてご紹介するとともに、ESG経営の重要性についても解説します。

 

 

ESG物流とは

ESGとはEnvironment（環境）、Social（社会）、Governance（管理体制/企業統治）の頭文字でできた言葉であり、企業が持続的に成長していくために重要となる観点として広がっています。
具体的には、Eは二酸化炭素の排出削減などの脱炭素社会へ向けた取り組み、Sは労働環境の改善やダイバーシティーの推進などの取り組み、Gは積極的な情報開示やコンプライアンス（法令遵守）の取り組みなどが挙げられます。
物流業界においてもESGの観点を持って企業活動が進められており、その取り組みをESG物流といいます。

 

物流業界では、E・S・Gそれぞれの観点でどのような取り組みが行われているのかご紹介します。

 

 

E（環境）への取り組み

炭素排出量を削減するために、様々な取り組みが行われています。

・環境配慮車両への切り替え
・他社とトラックを共有して輸送する共同輸送
・鉄道やフェリーへの輸送に切り替えるモーダルシフト
・ITを活用した効率的な輸送経路の策定
・エコドライブの推進
・物流拠点の省エネ化
・簡易資材や反復資材の活用

 

 

Social（社会）への取り組み

従業員に対する取り組みや地域社会への貢献など幅広い取り組みがなされています。

 

・ダイバーシティの推進
・健康診断やメンタルチェックなどの健康管理
・事故防止への取り組み
・物流施設を災害指定施設として提供

 

 

Governance（管理体制/企業統治）への取り組み

不祥事や経営悪化を防ぎ、従業員や顧客、地域社会などのステークホルダーに対して透明性の高い経営を行い、信頼性や利益を高めるための取り組みです。

 

・会社に関する情報開示（組織、内部統制システム、役員報酬など）
・ESG物流に関するリスク管理（気候変動による環境悪化リスク、企業による廃棄物の処理に関する環境悪化リスクなど）

 

 

ESG経営の重要性

物流業界においてだけではなくESG経営に取り組む企業は増加しており、それだけ社会的に重要性が高まっていることがわかるでしょう。

 

ESG経営が重要視されているのにはいくつか理由があります。
まずは企業として、環境や社会に対する責任を果たすことが必要であるという大前提があります。この責任を果たすことにより企業全体のブランド力のアップが期待できますし、ESGの観点からリスク管理を行うことは企業経営の安定化にもつながるでしょう。そしてそれだけではなく、ESG経営にどのように取り組んでいるかは、企業に対する評価の一つとなります。特に海外では、第三者機関によってこうした取り組みが評価され、投資家の判断材料や金融機関の審査材料としても使用されており、今後日本でも重要な指標の一つとなる可能性があります。

 

 

ESG物流への取り組み方

それでは、ESG物流はどのようにして取り組んでいけば良いのでしょうか？

 

 

現状把握と戦略立案

闇雲に取り組むと、効果を得られないだけではなく、コストがかかるだけになってしまいかねません。
どこに改善する余地があるのかを知るためにも、まずは自社の物流がどのような状態であるのかを把握することが必要です。その上で長期的な戦略を立て、計画的に進めていくことが求められます。

 

 

DX化を進める

ESG物流を進めるために欠かせないのが物流のDX化です。様々なテクノロジーを活用し、これまで人間が行っていた配車やルート設定などを自動で行うことで効率化を図ることができます。最適な配車・ルートによって二酸化炭素の排出量を削減したり、働き方を改善したりする効果が期待できるでしょう
最適なデジタルツールやシステムの導入は、ESG物流の実現に向けて欠かせない取り組みといえます。

 

 

他企業との協力

ESG物流を実現するためには、自社だけの取り組みでは十分とはいえませんし、時間がかかってしまう可能性があります。持続可能な物流を実現するためには、同業他社と情報共有を行ったり共同配送のような協働を行ったり、時には物流業界を超えて様々な企業と協力しながら進めていくことがポイントとなります。

 

 

まとめ

ますます変化が激しくなっている社会の中で物流業界の環境も変化を続けており、関わる企業は様々な対応が求められています。その一つとしてESG観点での取り組みがあり、ESG物流の取り組みを進めることで企業価値の向上やより良い社会の実現に繋げることができます。
環境負荷をかけないようにすることは、時としてコスト増につながることもあり悩ましい部分もありますが、一つの企業だけではなく、物流業界全体で協力することでプラスの方向へ進むことができるのではないでしょうか。

 

 

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